タイ人少女の人身取引について
2025.11.17
SWASHはセックスワーカーの安全と健康を応援している団体です。ここでセックスワークとは成人が同意の元、性的サービスを提供することを意味します。私たちは今回、タイの12歳の児童が人事取引の被害に遭い、性的搾取や虐待の被害を受けた件について大変遺憾に思います。
未成年の性産業従事、ましてや強制など、許されないことです。人身取引、児童への性的被害(ポルノ含む)を社会から根絶するための施策を、官民連携でより細やかに成されていくことを望みます。
また、移民を含む社会の中でより弱い立場に置かれている人々が適切に支援されるよう、法整備をはじめとする構造的な変革が必要だと考えます。この問題は、特定の関係者に対する厳罰だけで解決できるものではありません。
しかし現在この問題と並行して、現在世論や政治家から発言される「買春処罰法」には明確な根拠をもって反対します。まず、人身取引や強制労働はセックスワークではありません。そして、合意の元行われるセックスワークにおいて、顧客を罰する「買春処罰法」が児童への性被害を顕著に減らしたという報告はありません。買う人を取り締まれば良いという買春処罰が実施された国では、むしろセックスワーカーの労働環境を不安定化させ暴力被害が増えています。その他の産業であれば、人身取引や搾取が明るみに出た際に、問題そのものへの対策ではなく、産業自体の犯罪化が求められることは基本的にありません。
買春処罰法がセックスワーカーにどのような影響を及ぼすかについての研究や調査報告にお目通しください。
『買春者の犯罪化: 北欧地域の経験から』日本語訳
セックスワーカーの労働の安全と健康を守ることは、児童への人身取引や性的搾取を無くすことと対立するものではありません。それぞれの問題に対する施策は異なります。暴力の構造は誰かを差し出せば収まるものではありません。
私たちはあらゆる人の性をめぐる安全確保の一環として、差別や搾取に反対し、セックスワーカーの安全と健康を求めて出来ることを積み重ねたいと思います。
