極私的👄セックスワーカーのウチが観た映画【Anora】✨
2025.03.31
引用:映画「Anora サイトより」
しばらくはネタばれがない範囲で書きます👀
アカデミー賞5部門、カンヌ映画祭パルムドール(ええ賞)受賞。
ピカピカの最近のラブホくらい明るいメインストリーム。
セックスワーク/セックスワーカー
日本の配給会社のサイトでは「ストリッパー」「ダンサー」とありますが、この映画で描かれるセックスワークの多くのシーンは「性的な接触サービス」です。
(日本の公式サイトでは著名人のコメント欄で、脚本家の吉田恵里香さんが使用している以外に「セックスワーク/セックスワーカー」という言葉が現れないことも思案したい)
Anoraを演じる役者さんの演技には「わかるぅ!」「それな~」と唸るほど、表情や仕草が細やかに表されており身悶えました(ガチ恋系のセックスワーカーなウチは大共感)。
ついプロ視点が・・。
ゴダールですら娼婦は殺す(役として)
映画に限らないけれどフィクションの中でお涙(かわいそうorやたら気丈)かシンデレラか殺されるかで使われがちなセックスワーカー役。
あまりに多く長いこのマンネリから考えると良い兆候で、監督が現実のセックスワーカーにリスペクトがある、というのもこれまでの作品の概要を見るに嘘ではないのだろうと素直に思いました。
個人的な観点ですが、物語は大抵は多層な構造で組み立てられます。なので一つの立場の役だけがその物語を成り立たすわけではありません。描き方も自由です。
しかし、物語は観る人に影響を与えないわけではありません。21世紀も4/1が過ぎた今ですら「噛んで~!!」(映画「吉原炎上」)をぽわわんと脳裏に描きながら実際のセックスワーカーである私が眺められたりするのです。噛むな~!
ここからネタばれ含みます👀
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引用:映画「Anora サイトより」
定型ロマンスへのげっぷ。
結果的に破綻するものの、異性の/金持ちの/オトコ/との結婚を使うのは個人的には超萎え。休みの前日に1人焼肉でにんにくホイル焼きを2人前頼んだり、深夜のサウナで雑魚寝するシーンを入れ込む骨太の映画人はまだいないということがわかりました。
ロシアのルーツがあることを暗に描かれているAnora。ロシアのぼんぼんからのプロポーズ。めんどくさくないわけない。しかもタチ悪そうなめんどくささ。プロポーズへの返事第一声は「ご実家の玄関前でウォッカ撒かれるわぁ」やろ。
この仕事、人間のめんどくささを見続ける側面も多い仕事やでと思うウチにはここから一気にみなさんが仰るロマンスや結婚のキラキラがA24のサイコホラー作品の様相に感じました。
しかもバックでのピストン見まして?あんな内臓が口から出そうなピストンしてくるの百年に一回の災難で済ませたいものです。
ぼんぼんがコンドーム着けるのをごねてなさそうなのはブラボーです。
フィクションと現実は分かちがたいたい焼きの鋳型っぽい。
セックスワーカー役が出てくると、オトコとのロマンス、結婚が出てきがちなのは、セックスが「家の中」「家の外」に分けられることが色んな不平等に直結してることを暗に示しているのだとは思いますが。多くの制度や価値観が「お家の中」を確立し守ることを基盤に作られている。そろそろそこに砂かけるセックスワーカーを描いてみたいという壮大な夢を描いてしまいました。
個人的には私以外から与えられるミスフィットな「尊厳」めいたものを着せられるより、
「●●くん、営業の合間、90分、シャワーで一回、ベッドで一回。裏筋がよわい」(お仕事メモの一例)の実情を知った上でこの仕事が安全に健康にできる環境について応援してほしい。
話題のラストシーン。
私はそのまんま、高揚と失望の後に、ゲイ男性であるイゴールにまたがったものの勃起せず、イゴールのキスも叶えられず、物理的な体勢での苦しさの中でコミュニケーションの越境を試みる二人だと読みとり、色んな講評を読んで己の深読みのなさぶりに卒倒しそうになりました(この素直さが売れる為のコツを吸収する姿勢にも繋がったと自負しております)。
さすが旧ソビエト連邦共和国エリア出身とロシアルーツのアメリカ人を描くだけあると感動してしまいました(ロシアのお金持ち家は帰ったという点も見事なレイヤーだとばかり・・)。
越境は痛みも快楽もある冒険。あの静かなラストが、耳を傾ける先の広さを示すものであってほしいと思いました。