風俗と盗撮

2023.01.31

(1)風俗と一言で言っても
①低照度の飲食店や深夜に酒類を提供し遊興させる特定遊興等の「飲食店」
②キャバクラやバー等の「飲み屋」
③パチンコやマージャン店、ゲームセンター等の「射幸場等」
④ソープランドやデリバリーヘルス、ラブホテル等の「性風俗」
と多くの種類が規定されています。

そのなかで、盗撮被害に多く関わりのあるものとして性風俗のソープランド・デリバリーヘルスであると考えます。
なぜならば、盗撮の定義を「正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって、人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、もしくは設置すること」としており、また多くの盗撮犯罪の目的として「自らの性的欲求を満たすため」などとされているのが現状である以上、「異性の客の性的好奇心に応じて、その客に接触する役務(営業)」と定義されるソープランドやデリバリーヘルスと盗撮犯罪の目的と一致するからです。
よって、以下は性風俗を主に盗撮との関係を述べていきます。

(2)では、盗撮「犯罪」として、どのような法律等で規制されているでしょうか。
(一)ソープランド等の店舗を構えて、その店舗内でサービス等の役務を提供する場合の盗撮は、「正当な理由なく(盗撮目的として不正な理由で)建物に立ち入った」として建造物侵入罪(刑法第130条)が適用されることになります。
では、デリバリーヘルスのような店舗を構えていない場合は、どうなるのでしょうか。以下解説していきます。

(二)各都道府県が定める「〇〇県迷惑防止条例」というものがあります。補足として、条例とは法律と違い各都道府県の議会が制定する法律の様なもので、その都道府県だけで適用されるものとなります。
そこで、〇県だったら違法なのに△県だったら合法という事が生じる点が法律との違いになります。(法律は、地方特別法などの一部を除いて日本国内全体に適用され、海外でも日本法が適用される場合があります)
この迷惑防止条例では、全ての都道府県では公共の場での盗撮を禁止の対象としておりますが、ラブホテル等での盗撮は禁止対象外の都道府県もあります。
その見分け方としてインターネット等で「都道府県名+迷惑防止条例」で検索しますと、その都道府県の迷惑防止条例がみれます。
その中で、以下の様な規定となっていれば、ラブホテル内での盗撮も禁止の対象であると判断してください。

(以下、東京都迷惑防止条例 一部抜粋)
5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって、次に掲げるものをしてはならない。
(1)省略
(2)次のいづれかに掲げる場所又は乗り物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、もしくは設置すること。
(イ)住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所。
(ロ)公共の場所、公共の乗物、学校、事業所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く)
上記の下線部分がラブホテル等の盗撮を禁止としている部分となります。この部分がなく、単に「公共の場所での」のみを規定している場合は、その都道府県はラブホテルの盗撮を禁止対象にしていない事になります。
ちなみに、公共の場所以外での盗撮を禁止対象としている都道府県は39都道府県となり、まだ全国的にラブホテル等の場所での盗撮を禁止対象外としている都道府県が存在しております。

(3)最後に、ラブホテル等の盗撮は都道府県により処罰(禁止)対象か否かで分かれております。
また、地域の特性に関係なく盗撮被害が生じているのが現状です。
昨今、強制性交等罪(旧強姦罪)の見直し時期として盗撮を法律(刑法)で日本全国一律に禁止し処罰の対象にしようという方向に進んでおります。それにより、盗撮が法律で禁止され処罰の対象となれば、一定の抑止効果が期待できるかもしれません。
しかし、いつの時代も法律で禁止されていても犯罪が無くならないのと同様に、盗撮をする人が減る訳ではありません。
また、被害者が盗撮に気が付かない場合にインターネット上での拡散等の二次被害も想定されます。
そのような盗撮や二次被害を未然に防止する為にも、盗撮行為の実行を容易にしてしまう小型カメラや日用品に模した隠しカメラの規制も一程度必要なのかもしれません。

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