雇用契約と業務委託契約の違い Q&A

2022.03.30

業務委託契約と雇用契約の違いは何?
それぞれのメリット・デメリットに詳しい元キャストで現在デリヘル店経営者・FU-KENさんに聞いてみました!

FU_KEN (フーケン)さんプロフィール
デリヘル店経営者。元キャスト。「セックスワークにも給付金を」訴訟原告代表。ナイト産業を守ろうの会の関西支部長として、ナイト産業(広く風適法に基づく許可や届出をしている事業者や、そこで働く従事者など)の権利擁護や主張活動を主に行っております。

Twitterアカウント
@FU_KEN2020

ナイト産業を守ろうの会HP

Q.風俗店によっては、雇用契約と、業務委託契約の2種類があると聞きましたが、何が違うのですか?

A.まず私は風俗店の経営者なので、キャストの皆さんが知っておいたほうがよいと思う内容をお答えします。より詳しく正確に知りたい場合、税理士や社会保険労務士など専門家にあたっていただき、直接説明を受けていただくことをお勧めします。

雇用契約は、店がキャストを従業員として雇用します。従って労働基準法や労働契約法などの労働法が適用されます。一般的な正社員やアルバイトなどのイメージです。

業務委託契約は、店がキャストに業務を委託します。業務委託の場合、労働法が適用されません。キャスト個人が事業主としてお店から業務(性的サービス等)を引き受けることとなります。

現在、殆どの場合が風俗店とキャストの、業務委託契約になっていると思います。

Q.雇用契約のお店で働く場合の、いい点と、悪い点は何ですか?

A.良い点は、労働法が適用されるので最低賃金としての時給残業代も出ますし有給休暇や産休もあり、労災保険も適用されることです。また、店が法人の場合は、社会保険の一部を店が負担します。

悪い点としては、お給料から保険料や源泉も引かれることかもしれません。働き方も店の指示に従う必要があります。

Q.業務委託契約のお店で働く場合の、いい点と、悪い点は何ですか?

A.良い点は、キャスト個人が事業主としての裁量が広く、また必要な道具や衣装を経費に出来ることでしょうか。キャストはフリーランスになり、自分で確定申告をしなければなりません。その仕事をどのように行うか、受けるか断るか、全て本人が決めることができます。雇用契約よりも、働き方の自由度が高くなるかと思います。

悪い点としてとても大きいと感じることは、労災保険に入れないことや完全歩合制等により収入が不安定である事だと思います。また、店の待機室や物品を使う場合には、殆どの場合で雑費等が引かれます。

Q.雇用関係があるお店はどうやってわかりますか?

A.キャストと雇用契約を結ぶ店は、恐らくかなり限られていると思います。雇用契約は雇う側の負担も大きい為です。その分、お給料が下がる可能性があります。しかし、働く側としては安心や安定を手に入れられるメリットがありますし、雇用契約を結ぶ店は大々的にそれを打ち出すのではないかと思います。

そもそも自分が雇用なのか業務委託なのか分からない場合、店に確認をしてみてください。その際にきちんと説明をしてくれる店が安心して勤められるお店です。

また、店と業務委託契約を交わしていたとしても、労働の実態として店の指示に従う必要があるか否か等により雇用契約とされる場合があります。雇用関係であれば、労働法が適用されます。風俗でもキャバクラでも、それについて裁判で争った人がいます。どう見なされるかはケースバイケースのようです。


現在は「ギグワーカー」など様々な働き方が増えており、フリーランスでも労災に加入できる、特別加入制度が適用される業種が増えているそうです。安心して働くことができるよう、雇用契約であろうが業務委託契約であろうが、性風俗店で働くキャストが労災に加入できるようになることを願っています。

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